虐待の連鎖~他者への加害編~

虐待された経験のある親は
生まれた子供に虐待してしまう

という話を聞いたことはありますか?

 
もちろん100%そうであるという話ではないのですが、
その傾向は少なからずあるそうです。

 
一般的な考え方だと、

被害者で嫌な思いをしてきたのに、
どうして嫌なことを子供にするの??

と思いますよね。

よく耳にするのは
暴力なくして子どもを育てる方法を知らないから
というものがありますが、

手をあげなければいいじゃんって話で、

じゃあなんで手をあげてはいけないってわかってて
暴力という手段をとってしまうのか??

ということが私の疑問でした。

 
私自身、幼少期に虐待をされた経験から、
この虐待の連鎖について考えてみました。

性的虐待を受けた私がセックス依存になった理由

 
今回は虐待の連鎖について

・他者への加害編(←今ここ)
・攻撃者との同一化編
・再被害化編

の3本に分けて、
詳しくお話したいと思います。

 
 

目次

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「自分が加害者になってはいけない」そんなことは重々承知してる

虐待を受けた人の中には

・加害者を心から憎んでいる人
・加害者を加害者だとは思えない人

が存在します。

このどちらも虐待の連鎖として自分が加害者になる可能性を持っています。

この記事でお話するのは前者、
・加害者を心から憎んでいる人
についてです。

 
この人たちは、
自分が虐待を受け、散々嫌な思いをしているからこそ

他人に危害を加えてはいけないという意識が非常に強いです。

 
その結果、完璧主義になったり、
他人の目を気にしすぎるようになります。

 
 

罪悪感に苛まれながらも暴力を振ってしまう理由①~子供を幸せにするため~

「自分のように不幸な人生は歩んでほしくない」
「この子には絶対幸せになってもらうんだ」

完璧主義になると、
子育てはそれはそれは苦しいでしょう。

思い通りに動いてはくれないのが子供です。

 
でも自分のような人生は歩んで欲しくない、
何がなんでも幸せになってほしいですから、

子どもが自分の思うような行動をしてくれないとき、
カッとなってしまうのではないでしょうか。

 
でもそれって程度はあれど、
どの親にもあることだと思うんですね。

その怒りが大きくなってしまうのは
”コントロールしよう”としているからではないでしょうか。

(なぜなにをコントロールしようとしてしまうかはまた後程)

 
 

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罪悪感に苛まれながらも暴力を振ってしまう理由②~幼き日の自分を慰めるため~

他人の目を気にしすぎるということは、
自分以外の全員が敵(加害者)のように見える瞬間が多いということです。

 
常に他人のことを疑っているので、
少しでも不安や恐怖、不快な気持ちを感じた時、

「あー、結局この人も私の幸せを邪魔するわけね」

といった気持ちになります。

虐待の加害者=他人(子供など)に見えてくるということです。

 
しかし、自分が不幸であると認めることは非常に心ぐるしいことです。

加害者(親など)に愛されなかった
自分の虐待を受けた期間が失敗である

と認めてしまうのと同じ感じがします。

 
だから自分が深く傷ついていることを認めることができず、

自分の被虐待期間はそれほど悪くなかったはず

と思いたいんですね。

 
じゃあそれがどうして虐待の連鎖に繋がってしまうかというと、
ポイントは”罪悪感”です。

 
子どもに暴力を振るえば罪悪感が生まれます。

「なんでこんなことしてしまったんだろう」
「自分も被害者なのになんで…」

と思うでしょう。

 
その罪悪感こそ子供を愛している証拠になりうるじゃないですか

 

子どものことが大好きだから、
手をあげてしまった自分が憎い
 

 
私を虐待した人も同じ気持ちだったのかな?
私のことを大好きだったのかな?
 


 
じゃあ過去の私は不幸じゃない

 
もちろんこれを意識している人はいないに等しいとは思いますが、

無意識の防衛反応と言ってもいいのではないでしょうか。

 
無意識ほど恐ろしいものはありません。

無意識が幼少期の自分を守れば守るほど、
子どもへの暴力は止められなくなります。

 
子供に暴力を振るうことは、
自分を守ることになってしまったからです。

 
 

トラウマを乗り越えるために欲するコントロール感

虐待を受ける、いじめられる、

そういった強烈なトラウマは
心に大きな傷を負わせます。

しかしその傷を傷だと認識するのはすごく苦しいことで、

自分が不幸であると認め、
自分の人生を否定することになるんですね。

 
それを認めずしてトラウマを乗り越えようとする作用が、

コントロールです。

 
何をコントロールしようとするかというと、

トラウマとなった過去をです。

 
今回の場合は、
他者に危害を加えることでトラウマとなった出来事を思い出します。

思い出しながら幸せになろうなろうとすることで、
そのトラウマとなった出来事も幸せなものだったと思える(はず)なわけです。

 
とはいえよく考えてみてください。

過去に自分が苦しい思いをしたという事実は変えられないのですよ。

 
 

虐待の連鎖~他者への加害~を生まないために

自分はそうなるまいと思えば思うほど、
自分を守ろうと他者に危害を加えてしまうのが虐待の連鎖です。

 
ではその連鎖を生まないためにどうしたらいいのかというと、
自分だけで自分を守ろうとしないことです。

 
自分が傷ついた過去を受け入れるということはそう簡単なことではありません。

欠点を受け入れる、ありのままの自分を愛するって何ですか?前編

 
傷ついた自分に対して
「大変だったね」「怖かったね」
と声をかけてあげるのも一つの手ですが、

どなたか共感してくれる人がいると心強いものです。

 
そういう人がひとりでもいると、

「自分も暴力を振るってしまうのは過去の自分を守るための仕方のないことなんだ」
「それでも自分を好きでいようとしてくれる子どもがありがたいなあ」

といった気持ちになることができます。

 
あなたはこれまで人を疑うことしかできませんでした。

ですからその共感してくれる人のことも、
心から信じるということは難しいかもしれません。

信じようとしなくてもいいです。

 
それでも、その方がかけてくれる共感の言葉は、
必ずあなたのことを癒してくれるはずですよ。

 
 
虐待の連鎖~攻撃者との同一化編~はこちら



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